不屈の料理魂

 こんにちは。

 

 先日、煮物を作ってみようと思い立ちました。丁度、家に人んじん、じゃがいも、たまねぎがあったので、早速作り始めました。水に野菜とだしの煮干しを入れ、砂糖や醤油などの調味料を適当に入れて、煮込みました。


 途中で味見をしてみたら、想像を絶するようなまずさでした。その味は基本的には強い塩辛さなのですが、何か化学反応でも起こったのか、単純な塩辛さが非常に凶悪な変種と化していました。舌に強烈な刺激が残り、しばらくの間続くほどでした。


 私が今までの人生で作った料理の中で最もひどい味なのは確かで、「人間はこんなにもまずい料理を作ることができるのか」と、反対の意味で人間の可能性を知った気がしました。


 何とかしたいと思った私は、煮汁を捨て、砂糖を多く入れた煮汁で煮直せば、まだ修正できると考え、早速その作業を始めました。しかしさっきの味が強烈過ぎたのか、何の変化もありませんでした。


 諦めた私は「すいません」と謝りながら、失敗作を捨てました。なんだか死体を扱っているような気分でした。自分の過失のせいで死んでしまったにんじん君やじゃがいも君達よ、すまない・・・


 かなりのショックを受けたので、もう当分煮物など作りたくない気分でしたが、このまま煮物作りを苦手にしたくないと思い、実家の母に電話して煮物の作り方を聞き、もう一度作りました。結果、大成功とは言えませんが、程々のものは作ることができました。


 声楽やボイストレーニングをやっていると、大失敗することもあると思います。私も学生の頃、風邪をひいていることに気付かずにオペラに出演し、序盤から声が出にくくなり、終盤にはほぼ完全に出なくなるという事態に陥ったことがあります。かなりつらい思いをしましたが、その後もまたオペラに出演しました。


 大失敗してもまた起き上がって歩き始めましょう。