漢方薬と音楽のレッスン

 おはようございます。

 

 私は慢性的に胃が弱く、漢方薬を飲んでいます。漢方薬と言うと銀色の小袋に入った顆粒状の薬を思い浮かべる人が多いと思いますが、私は生薬を煎じて飲むことの方が多いです。その方がよく効きます。面倒な作業ですが、今のところ何とか続いています。

 

 漢方薬が何故効くのかという科学的根拠は最近でこそ少しずつ研究され、明らかになり始めているようですが、大部分はまだよく分かっていないようです。それでも実際に飲んでみて効いたという歴史の積み重ねがありますので使用されています。

 

 医師の中には「作用機序(薬の効く仕組み)が分からない薬など使いたくない」と言って、漢方薬を使わない人もいます。それに対し、「そういう態度は自己満足の医学に過ぎない。効きそうな薬があって、それなら飲みたいという患者がいるなら使うのが医師のあるべき態度だ」と批判する人もいます。

 

 どちらの考えにも理があるので、どちらか一方だけが正しい、あるいは間違っているということはありませんが、私は「効きそうな薬なら仕組みが分からなくても使えばいいじゃないか」という考えでした。しかしこれを音楽のレッスンに当てはめて考えてみると、そう簡単に扱える問題ではないと気付きました。

 

 例えば、もし「阿波踊りで歌がうまくなる」ということが、何人かの人によって経験的に明らかにされたとしましょう。そのとき私は自分のレッスンに阿波踊りを採り入れられるかどうか考えてみたのです。漢方薬に対する態度を考えれば、「うまくなれそうな方法ならやってみればいいじゃないか」という発想が浮かぶはずですが、素直にそうは思えませんでした。

 

 まず私自身が阿波踊りで上達した訳ではないので、「私が阿波踊りを教えること」に必然性がありません。これはやっていてつらいと思います。私が積み重ねてきたものと関係が無いからです。

 また、仮に阿波踊りで生徒さんが上達したら、「今まで自分がやってきたことは一体何だったのか」という根本的な疑問に駆られそうな気がします。そう考えると効き目がありそうだからといって簡単に阿波踊りの導入はできないと思わざるを得ません。何をやっても全く上達しない生徒さんのための最終手段としてやむを得ずやるぐらいでしょう。

 

 これはなかなか難しい問題です。ですから、「作用機序が分からない薬は使わない」という医師を簡単に批判してはいけないと思いました。

 

 写真は漢方薬を煎じるのに使っているやかんです。