才能を嘆く前に

 おはようございます。

 

 音楽に限らず、スポーツ、学術研究等、何らかの専門分野に打ち込んでいる人で、自分の「才能」の無さを嘆いたことのある人は多いのではないでしょうか。それほどでなくても、他人の才能を羨んだことぐらいならあるのではないでしょうか。勿論私にもあります。今日はこの才能について考えてみましょう。


 才能という言葉は普通、「特定の分野に対する先天的な資質」という意味で使われます。音楽の才能、スポーツの才能、商売の才能というように。確かにこういう才能はあります。私はこれを「純粋才能」と呼んでいて、世間ではこの純粋才能が重視されるときも多いですが、私はそれが全てではないと考えています。


 かつて私の恩師は「やり続けることが才能」と仰いました。これを聞いたときはあまりピンと来ませんでしたが、今では確かにそうだと思います。同じようなことを各界で成功した人も言っていて、例えば将棋の羽生善治名人も「努力し続けることが才能」と言っています。将棋なんてそれこそ純粋才能の世界だろうと思いがちですが、羽生名人はかなりの努力を続けて今の地位を築いたのです。決して才能だけに頼ってはいません。


 最近才能とは「根気と集中力」のことではないかと思うようになりました。私はこれを「周辺才能」と呼んでいて、純粋才能と同等、場合によってはそれ以上の力を発揮するとさえ考えています。


 根気とは「飽きずに取り組み続ける辛抱強さ」のことですが、「ずっと好きでい続けられる気持ち」も含んでいます。音楽なら、音楽をずっと好きでい続けられる気持ちが大切です。その気持ちを持って、練習するときはひたすらに専念できる集中力があれば、純粋才能にあまり恵まれていなくても、いいところまで行けるのではないでしょうか。反対に、純粋才能はあっても、根気も集中力も無ければ大成することはできないでしょう。


 「自分には才能が無い」と嘆く前に、まずは根気と集中力をもって取り組んでみましょう。