「クラシックは何遍も出たり入ったりするから嫌いや」

 おはようございます。

 題名は私の父がかつて言ったことで、「何遍も出たり入ったり」とは、クラシックの演奏会のカーテンコールのことです。確かに演奏会が終わると、出演者が舞台の袖に引っ込んだり、また舞台上に出てきたりというのを拍手に合わせて何回か繰り返します。あれが嫌いという訳です。「しつこい、くどい」ということなのでしょう。


 私はカーテンコールという習慣を当たり前だと思っていたので、父の言葉は非常に新鮮でした。そういう「嫌い方」もあるのかと、意外に感じました。ただ確かにカーテンコールの最中、「もういいだろう」というような表情でうんざりしている人も見かけますし、次に用のあるらしい人が、早く退出したそうにしているのを見かけることもあるので、私が思っている以上に父と同じ考えの人がいるのかもしれません。


 また、カーテンコールとは本来、観客が拍手で呼び出すから出演者がそれに応えて再び顔を出す、というサービスだと思いますが、半ばそれが「定型的な手続き」と化している側面もありますので、一度お客さんの真意を問うてみるのも無駄ではないでしょう。


 そこで、一度カーテンコールの無い演奏会をやってみてはどうかという話になるのですが、やってみたらやってみたで「どことなく物足りなかった」、「もっと余韻を味わいたかった」という声も多いような気がするので、なかなか難しいですね。